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〈桐光学園・下〉3つの悔しさを胸に秘め、甲子園での躍動を誓う



昨秋は県大会に優勝し関東大会ベスト8に残るも、センバツ出場は惜しくも逃した桐光学園。今春は準々決勝で東海大相模に敗れた悔しさもある。キャプテン・森駿太を筆頭にポテンシャルを秘めた選手がそろい、12年ぶりの甲子園出場を狙う。

(文・写真/武山智史)


投打ともに様々なパターンを模索 


 春季大会後の5月中旬、3学年合わせての全体ミーティングを室内練習場で実施。野呂監督は夏に向けての戦い方について時間を掛けて選手たちに説明し、チーム内でその考えや意識を共有した。

「もう少し幅広い攻撃パターンでやディフェンスで戦うことだったり、いくつか具体例を出して話しました」と野呂監督は振り返る。森はこのミーティングについて「夏に向けてもう一度引き締めるというのか、このチームでやるべきことやルールを再確認しました。分かってはいるけれど、1年生にしっかり背中を見せなきゃいけないと思いましたね」と気持ちを引き締めた。

 練習試合では打線を頻繁に組み替え、様々なパターンを模索した。例えば昨秋は1番、今春は2番を打った森が4番に座る。本来は中軸を任されている中村が2番を打つなど、そのパターンは多岐に渡る。

野呂監督は言う。

「6月から1カ月間、チームを見てくれた人にとっては『え!?』と思ったかもしれませんね。私の目から見て打線を固定するのはデメリットじゃないかと解釈しているんです。もしかしたら夏は今まで試していない打線で行く可能性もあるでしょうし、毎試合打順が変わることも考えられます」

 それは投手陣も同じ考えだ。法橋から加賀につなぐ継投だけでなく、春以降は加賀が先発するなど様々なバリエーションの投手起用を重ねてきた。




エースの法橋瑛良は緩急で勝負する

 第2シードとして臨む夏の大会。初戦は7月10日、サーティーフォー相模原球場で横浜栄と旭の勝者と対戦する。野呂監督は「いかに悪い自分を出さないか」をポイントに挙げる。

「優勝する可能性は高いとは思いますが、悪い方のゲームが出たときにどう対応できるか。良い自分を出すよりも悪い自分を出さないようにするかがポイントです。そういう野球ができるような経験値はあると思っていますからね」


 目指すはもちろん、2012年以来の甲子園出場。特に今春のセンバツ出場を逃していただけに、その思いは一層強い。森は夏の大会を直前に控え、その意気込みを力強く語ってくれた。

「まずは悔いを残らないようにするのが一番。そして自分たちが日本で一番最後に残る一校になる。そのためにもプレーだけでなく、甲子園にふさわしいチームになっていきたいです」



練習試合中のベンチの風景。野呂監督(右端)が戦況を見つめる




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