〈東海大相模・上〉チームTシャツ『結』に込めた思い。3年生の団結力を武器に挑む夏
東海大相模の3年生は12名。強豪私立としては少ない部員数だが、少ないからこその強みがある。ひとりひとりのつながりを深め、狙うは2019年以来の夏の甲子園。その先にある日本一まで突き進む。
(文/大利 実 写真/大利 実、BK編集部)
少ない人数だからこその強さ
5月下旬、東海大相模のグラウンドを訪れると、卒業アルバム用の写真撮影が行われていた。カメラに収まるのは3年生12名。監督の交代期と重なったこともあり、近年では特に少ない学年である。
東海大相模の野球に憧れて、三重県から入学した岡村日和マネージャーは、「人数が少ない分、仲がいい。学校行事で東京に行ったときには、竹下通りでみんなでプリクラを撮りました」とうれしそうに教えてくれた。
ショートの才田和空も「仲のよさが、自分たちのいいところ」と語る。
「全員が寮生。私生活でも一緒にいることが多い。その中心にいるのがキャプテンの木村(海達)で、プレーと同じように突っ走りがちなのが和田(勇騎)。和田を冷静に抑えるのも木村で、バランスが取れています」
2番・キャッチャーの木村は、攻守の要であり、精神的な支柱。原俊介監督から、「試合経験が豊富で、野球の会話ができる」という理由からキャプテンに指名された。
「周りを見て、積極的に声をかけることは、ほかの人よりもやってきたと思っています。この学年は一人ひとりの力は高くないですけど、『勝ちたい!』という強い気持ちは誰もが持っている。人数が少ないからこそ、まとまりがあります」
気持ちや声を結んでいく
毎年、夏の大会に向けて作成するチームTシャツには、背中にその代を象徴する漢字を入れるのが伝統になっている。3年生で話し合い、今年の言葉は『結』に決まった。
198cm、92kgの大型左腕・藤田琉生が、『結』に込めた思いを語る。
「気持ち、友情、声……、いろいろなものをつないで、結んでいく。自分たちは『つなぐ野球』を大事にしていて、そこから生まれた言葉です」
「緊張しやすいタイプ」と自己分析しているが、緊張を感じたときこそ、周りを見ることを心掛けているそう。
「後ろを見れば頼れる野手がいるので、『みんながいる。野手が守ってくれている』と自分の中で言い聞かせるようにしています」
ショートからその背中を見てきた才田は、「藤田は真面目な性格で、考え過ぎると固まってピッチングが小さくなってしまう。だから、リラックスできるような声をかけるようにしています」と明かす。
心と心を結び合う、3年生のつながりは深い。